融通念仏宗
提供: 新纂浄土宗大辞典
2018年3月30日 (金) 06:35時点における192.168.11.48 (トーク)による版
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ゆうずうねんぶつしゅう/融通念仏宗
良忍を宗祖とし、彼の提唱した融通念仏信仰を受け継ぎ元禄年間(一六八八—一七〇四)に大念仏寺(大阪市平野区平野上町)を本寺として成立した。それは偏えに四六世大通(一六四九—一七一六)の尽力によるものである。また元禄一六年(一七〇三)に『融通円門章』を開版し、宝永二年(一七〇五)には『融通念仏信解章』を作成して、華厳と天台の思想によって教義を体系づけた。それによると、阿弥陀仏の名号を称えることによって、一人と一切人、念仏の一行と諸善万行が互いに融通して大きな功徳となり、苦悩の娑婆世界が寂光浄土に転じて仏身国土が現前すると説き、それは自己の持ち合わせている仏性が口称念仏を縁として結実して開花することを意味する。本尊は十一尊天得阿弥陀如来、『華厳経』と『法華経』を正依とし、『梵網経』、『無量寿経』、『観経』、『阿弥陀経』を傍依とする。末寺数は三五七箇寺で主に大阪府と奈良県に分布し関西にのみ教線をもつ教団である。
【執筆者:戸田孝重】