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知恩報恩

提供: 新纂浄土宗大辞典

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ちおんほうおん/知恩報恩

父母・衆生・国王・三宝などの恩徳を知り、その恩徳に報いること。知恩報徳ともいう。大乗経典には利他菩薩行としてさまざまな報恩行が説かれ、報謝すべき恩についても諸説がある。浄土教においては、善導往生礼讃』に「自ら信じ、人を教えて信ぜしむること、難きが中にうたた更に難し。大悲をもて伝えて普く化すれば、真成に仏恩を報ずるなり」(浄全四・三六二下正蔵四七・四四二上)とある。また、法然も『一紙小消息』に「天に仰ぎ地に伏しても悦びつつ、この度弥陀本願に遇える事を。行住坐臥にも報ずべし、かの仏の恩徳を」(聖典四・四二一/昭法全五〇〇)と説いて仏恩ぶっとん報謝を勧めている。とくに浄土宗西山派や真宗では、報恩感謝の称名念仏を力説する。


【参考】諸戸素純「日本倫理と知恩・報恩」(浄土学一六・一七、一九四〇)、佐々木憲徳「仏教の恩思想を究めて浄土門のそれに及ぶ」(『顕真学苑論集』四七、一九五五)、勝又俊教「四恩思想の諸型態」(『豊山教学大会紀要』一、一九七三)


【参照項目】➡報恩謝恩


【執筆者:杉山裕俊】