「往生礼讃私記見聞」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:21時点における最新版
おうじょうらいさんしきけんもん/往生礼讃私記見聞
一
二巻。『往生礼讃見聞』ともいう。聖冏撰。ただし浄全本には「御口筆」(浄全四・四三〇上)とある。良忠の『往生礼讃私記』の注釈書。巻上冒頭に「応永十七年庚寅卯月八日にこれを始む」(浄全四・四三〇上)とあることから、聖冏が応永一七年(一四一〇)に講義を開始したことが分かる。本書の特徴は、第一に「師仰」という表現が多々あるように、白旗義の教学とその正統性を主張していること、第二に本書講義の内容が心具決定往生義になっていること(浄全四・四四六下)、第三に諸行本願義との教義的な交渉を記していること(浄全四・四四二上~下)、第四に平仄について言及していること(浄全四・四七二下~三上)、第五に良忠が注釈していない箇所に関しても積極的に注釈していることなどが挙げられる。
【所収】浄全四
【執筆者:柴田泰山】
二
三巻。『往生礼讃見聞』ともいい、「大沢見聞」(「良栄見聞」)の一書。良栄理本撰。良忠『往生礼讃私記』の注釈書。中において「正定業(称名)に自ずから五門を具す…一声の称名に正助整足にして往生の因、堅なるのみ」(浄全四・六八八下)と、称名の徳を明らかにする。良栄は尊観・明心・妙観・聖観・良栄と続く名越派の人師であるが、解釈の祖述には「藤田(藤田派祖性心)」「坂下(白旗派祖良暁)」「理真(源忠)」等の諸師の解釈を援用するという特徴が見られる。
【所収】浄全四
【執筆者:米澤実江子】