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ふんべつ／分別

原義「分かつ」に関連する多くの意味を表示する。１解説、注釈。「当に汝が為に分別解説すべし」（例えば『長阿含』正蔵一・一下、『大般若経』正蔵五・五五九下等）は定型句。また『往生論』題中の優婆提舎うばだいしゃ（Ⓢupadeśa）なども分別と訳される例がある。２認識、思惟。計校けきょう分別という。衆生は言語能力なしでは思考できないが、言語を通して経験された世界は執着の対象となり解脱の妨げになる。このような言語（名言みょうごん、戯論けろん）に依存した心作用を指し、それゆえ虚妄こもう分別ともいう。ただその一方で言語認識に依らなければ仏説の理解もありえない。唯識では認識作用すべてが主客二分を前提として活動する分別（Ⓢvikalpa）であるという。また三性説の一つ遍計所執自性へんげしょしゅうじしょう（Ⓢparikalpitasvabhāva）は分別性とも訳される。３分割、区分。例えば『中辺分別論』の「分別」（Ⓢvibhāga）は中道と辺を弁別するの意味、『法華経』分別功徳品の「分別」（Ⓢparyāya）は功徳の分配の意味などである。

【参照項目】➡優婆提舎、虚妄分別、三性・三無性、唯識

【執筆者：小澤憲雄】