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「選択疑問答」の版間の差分

提供: 新纂浄土宗大辞典

 
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2018年3月30日 (金) 06:28時点における最新版

せんちゃくぎもんどう/選択疑問答

一巻。良忠撰。建治三年(一二七七)成立。本書は、毘沙門堂阿弥の疑難に対して良忠が答えた内容をまとめたものであるとされている。毘沙門堂阿弥については、長西弟子の阿弥陀(弘安元年〔一二八七〕寂)とする説もあるが確かではない。疑難の中心は、往生行称名念仏一行に限られることの是非であり、答では、『往生礼讃』の一三の得失と『観経疏』の五番相対とを「開合は異なるが彼此全く同じ」(浄全七・六一七下)とし、また念仏口称(易修)、諸行を観仏(難修)とすることを示して、称名念仏阿弥陀仏本願に誓われた凡夫往生行であることをいう。内容は『選択集』の章順に展開されるが、第五・六・一五・一六章については記載がない。「問い(疑難)」は大小合わせて三四箇に及び、それらの内容の半数ほどは『決疑鈔』と重なり、「答」は『決疑鈔』『東宗要』との同文(同意趣文)が多く見られることから、両書との関連に注意しなければならない。巻末には『選択集』撰述の背景等が記されているものの、『決疑鈔』巻末にあるような詳細な日時や場所等の記載はない。


【所収】浄全七


【参考】小西存祐「選択疑問答について」(『摩訶衍』一四、一九三四)、石井教道「選択疑問答」(『選択集の研究—註疏篇—』誠文堂新光社、一九四五)、恵谷隆戒『浄土宗三祖然阿良忠上人伝の新研究』(金尾文淵堂、一九三四)


【執筆者:米澤実江子】