「下钁」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:17時点における最新版
あかく/下钁
土葬の際に行う作法。鍬の形の物を一握用い、作法も眼下、足もと前方に一円相を描き、引導の文を述べた後、元の位置に戻す。埋葬する土地が欠けることのない仏国土であるようにと念ずる意、などの説がある。火葬における下炬に対し、土葬において下炬にかわって用いる場合がある。『浄土無縁引導集』の「土葬の法式」の項には「知識の引導する時は木にて鍬を作りて、是にて拈起する也。鍬柄は一尺八寸也。表示十八界を表す。云々」(正徳三年〔一七一三〕三・一七オ)とあり、土葬の引導に用いた。『啓蒙随録』初篇にも「西京地方にて。土葬には炬を止めて。木の钁鍬を用いるもあり」(一四オ)とあり、関西の風としている。曹洞宗でも炬火の代用として「钁子」を記載しているが(『昭和改訂曹洞宗行持規範』、一九五〇)、浄土宗とは若干作法が異なる。土葬に钁や鍬を用いる習俗は各地に残っており、民俗学の一説では日本伝統の鎮魂の呪術と呪物の葬具としての鍬などが仏教化して継承されたものとも説明されている(五来重『葬と供養』三三三、東方出版、一九九二)。
【資料】『浄土苾蒭宝庫』下・一三左
【執筆者:大澤亮我】