「無量清浄平等覚経」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:34時点における最新版
むりょうしょうじょうびょうどうかくきょう/無量清浄平等覚経
四巻。『無量寿経』の異訳の一つ、五存七欠の五存の一つ。『大阿弥陀経』と共に初期無量寿経に位置づけられる。現存の本経は後漢の支婁迦讖の訳とされるが、それは『歴代三宝記』四(正蔵四九・五二下)の説と、それを承けた『開元釈教録』一の記事(正蔵五五・四七八下〜九上)による。しかし、今日、この説は研究者によって承認されていない。西晋の竺法護、帛延(あるいは白延)、さらに支謙の訳出とするなど諸説がある。本経では阿弥陀仏を「無量清浄仏(覚)」とも呼んでおり、経題の無量清浄平等覚とは阿弥陀仏を指している。内容は『大阿弥陀経』と類似した点が多く、阿闍世王太子と五百大長者迦羅越子に対する「無量清浄仏の如き仏となりたい」との願いが叶えられるという授記、阿弥陀仏の入滅と廅楼亘(観世音)菩薩と摩訶那鉢(大勢至)菩薩の補処を説く。『大阿弥陀経』とほぼ一致する文面の五悪段を備えている。一方で、願文の数は二四で『大阿弥陀経』と同じであるが、その順序は整理され『無量寿経』のそれに近い。『大阿弥陀経』には偈頌がないのに対し『無量寿経』にある偈頌のうち、「四誓偈」以外の偈頌を備える。このような点から、成立順序は『大阿弥陀経』と『無量寿経』の間に当たると推定されている。
【所収】浄全一、正蔵一二
【参考】香川孝雄『無量寿経の諸本対照研究』(永田文昌堂、一九八四)、藤田宏達『浄土三部経の研究』(岩波書店、二〇〇七)
【参照項目】➡無量寿経
【執筆者:齊藤舜健】