ちょうじゃ/長者
ⓈgṛhapatiⓈśreṣṭhinに対する訳語。富裕な資産家で高徳者をさす。仏典では古代インドでの商業活動の隆盛と相まって、仏教の擁護者として登場する場合が多い。仏伝に登場する須達長者(給孤独長者)、大乗仏典『宝積経』に登場する郁迦長者などが有名。長者にちなんだものとして、法華七喩の一つ「長者窮子喩」がよく知られる。『俱舎論』業品では、菩薩は成仏以前にクシャトリヤ・バラモン・長者の家という善趣への生が要求され、『無量寿経』では「生尊貴家の願」(第四三願)にその趣意が現れている。
【参照項目】➡生尊貴家願
【執筆者:中御門敬教】