「往生講式」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:21時点における最新版
おうじょうこうしき/往生講式
一巻。『往生講私記』『阿弥陀講式』ともいう。永観撰。承暦三年(一〇七九)の作(一説に一〇九六)。往生講の次第・法則・講説内容を記したもの。往生講は東山禅林寺(永観堂)において、当初は十斎日ごとに、のちには毎月一五日に修せられた。まず道場の西壁に来迎引摂の姿の阿弥陀仏像を安置し、導師(講師)の入堂とともに式衆により歌頌が唱えられ、香や華が供えられるなか、講衆が本尊に相対して着座する。続いて表白文が奉読され、諸善神を勧請した後、発菩提心門・懺悔業障門・随喜善根門・念仏往生門・讃歎極楽門・因円果満門・回向功徳門の七門にわたる講筵が修される。このうち、第一、二、三門によって説示される発心、懺悔、随喜等の所作は、第四門に明示される一心称念の念仏の前提となり、基礎となっている。一方、第五、六門は第四門において講衆の心中に確立した決定往生心を更に堅固ならしめるよう施設され、講衆は宗教的雰囲気の中で礼拝・十念を重ね、菩提心を発し臨終時の聖衆来迎と浄土往生を願う回向によって終了する。
【所収】浄全一五、正蔵八四
【参考】大谷旭雄「永観—念仏宗の人—」(『浄土仏教の思想』七、講談社、一九九一)、同「永観『往生講式』の撰時と往生思想」(『法然浄土教とその周縁』乾、山喜房仏書林、二〇〇七)
【執筆者:坂上雅翁】