因円果満
提供: 新纂浄土宗大辞典
いんねんかまん/因円果満
完全なる因のもと、完全なる結果が成就するということ。『大乗本生心地観経』(正蔵三・二九五上)や吉蔵の『仁王般若経疏』(正蔵三三・三一六下)、智顗の『妙法蓮華経文句』(正蔵三四・一一七上)や善導の『観経疏』(正蔵三七・二七八上)にその用例が見られ、また智儼や法蔵の『華厳経』の注釈にもその用例を多く見ることができる。智旭の『阿弥陀経要解』に「報身とは因円にして円果なるを成と名づく」(正蔵三七・三七〇上)とあるように、阿弥陀仏の本願成就について「因円果満」という場合もある。また浄土宗の敬礼偈「敬礼したてまつる天人の大覚尊、恒沙の福智みな円満し、因円果満して正覚を成じ、住寿凝然として去来なし」は『大乗本生心地観経』を典拠としたものであり、釈尊の菩薩時代のことを説示している内容である。
【執筆者:柴田泰山】