「法然上人伝記」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
Seishimaru (トーク | 投稿記録) 細 (1版 をインポートしました) |
|
(相違点なし)
|
2018年3月30日 (金) 06:32時点における最新版
ほうねんしょうにんでんき/法然上人伝記
一八巻。『九巻伝』『法然上人絵詞』『法然上人絵詞伝』『法然上人伝』ともいう。正和元年(一三一二)頃の成立。九巻各上下二巻の全一八巻からなる。『浄全』所収本(江戸中期写本、大正大学蔵)は、巻頭に『法然上人絵詞』第一巻残欠部分を合しており、この残欠部分は『四十八巻伝』序と類似する。本書では、聖光について「上人教訓の正義を伝え、勧化更にあやまりなし」(浄全一七・一四〇下/法伝全三七四上)とし、また源智の弟子蓮寂をして「予が門弟においては筑紫義に同ずべし。更に別流を立てるべからず」(浄全一七・一四一下/法伝全三七四下)として、聖光・良忠と続く鎮西義(筑紫義)は、法然随従の弟子である源智の門流と同義であり、法然の宗旨を正統に継承していることを示す意図がうかがえる。本書と『四十八巻伝』との成立関係については注意を要す。
【所収】浄全一七、法伝全
【参考】田村円澄「法然伝の系譜」(『法然上人伝の研究』法蔵館、一九七二)、仏教文化研究所編『法然上人伝の成立史的研究』(知恩院、一九六二)、三田全信「法然上人伝記(九巻伝)」(『成立史的法然上人諸伝の研究』光念寺、一九六六)、中井真孝「隆寛作『法然上人伝』に関する若干の考察」(『法然伝と浄土宗史の研究』思文閣出版、一九九四)、別府一道「『九巻伝』と『四十八巻伝』の関係について」(『佛教大学大学院紀要』二一、一九九三)、中井真孝「『法然上人伝記』(九巻伝)の成立について」(『佛教大学宗教文化ミュージアム研究紀要』六、二〇〇九)
【執筆者:米澤実江子】