「撒銭」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:24時点における最新版
さんせん/撒銭
撒はまき散らすことで、魔除け、鎮魂などのために金銭を撒くことをいう。撒銭を行う儀礼は二種に大別される。第一は建築儀礼の撒銭で、大規模な上棟式の最後に、魔除け、招財などのため、匠長儀礼(曳綱の儀、槌打の儀などの職方の儀式)とともに行われるもので、『法要集』の「上棟式」差定にも、匠長儀礼として撒餅・撒銭と記されている。第二は葬送儀礼で行われる撒銭である。古来金銭は呪術的な力を持つものと考えられたため、死者の滅罪や鎮魂のために、葬列で竿の先端につけた花籠に、紙片とともに銭を入れて振り撒いたり、籠に入れた銭を人々に撒き与えたりするのがその代表的なもので、これには供養や施しの意味もあるといわれる。また撒銭には、神仏に詣でて祈願のために捧げる、浄財銭の意味もある。一般に賽銭と呼ばれるもので、仏が撒銭の供養を受けるのは、銭を投ずる人の貪欲の罪を除くためとされている。
【資料】子登『真俗仏事編』
【執筆者:熊井康雄】