「伝道」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:29時点における最新版
でんどう/伝道
宗教者が特定の宗教の教義や信仰を未信者に伝えて、信仰生活に導き入れるはたらきをいう。広義には、宗教全般に共通する用語である。浄土宗においてこの言葉を用いるようになったのは、明治・大正時代からである。これはキリスト教の影響によるもので、それ以前は仏教が一般に用いている説経・説法・唱導・談義・勧化・助説・説教・教化・布教などの用語が用いられていた。これらの用語は、多少意味内容を異にしているものもあるが、大体において伝道と大差はない。通常、伝道を布教伝道とか、伝道教化とか呼ぶ場合が多い。その歴史については、釈尊の初転法輪にはじまり、中国・日本の列祖、とりわけ善導・法然・歴代の浄土列祖の流れがあり、今日に至っている。伝道は、身・口・意の三業を通して衆生を教化することである。身業による伝道とは、日々の仏道生活、法要儀式、学校・病院等種々の施設事業、出版文書、芸術芸能活動、インターネット、海外援助等を通して、衆生を教化するものである。口業による伝道には、説法、講演、人生相談、テレホン法話等があり、またパネルシアター法話などの視聴覚媒体を利用した教化も挙げられる。そして、身・口二業を動かしめるところの三宝帰依の心や信仰心によって衆生を教化しようとする意業による伝道がある。つまりは「自信教人信」(「自ら信じ人をして信ぜしむる」『往生礼讃』浄全四・三六二下)の伝道心といえる。また、浄土宗布教師会会則中の事業に「大挙伝道」がある。これは、主に布教師大会において主催担当教区の寺院数箇寺を会場として、全国の布教師の代表が檀信徒に布教伝道を行うことである。また、ハガキなど紙媒体によるものを文書伝道と呼んでいる。
【参考】恵谷隆戒『伝道』(浄土宗、一九六八)、浄土宗布教伝道史編纂委員会編『浄土宗布教伝道史』(同、一九九三)
【執筆者:正村瑛明】