「剃髪」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:29時点における最新版
ていはつ/剃髪
髪を剃ること。それから転じて出家すること。剃除鬚髪、剃頭、落髪、落飾、かしらおろしなどともいい、また剃髪することを、髪を下ろすともいう。剃除鬚髪ともいわれるように、髪だけでなく鬚(や眉)を剃ることも意味する場合がある。剃髪は、袈裟を身につけることと共に、出家し僧になるために必要なことである。すなわち『雑阿含』二二や『十誦律』三四には、僧とは髪や鬚を剃り、法衣を身につけ、仏に従って出家した者のことであるとする。また釈尊も剃髪し袈裟を身につけ出家したと伝えられる。『無量寿経』に「珍妙衣を捨てて、法服を著し、鬚髪を剃除す」(聖典一・二一四/浄全一・二)とあるのも、それに由来したものといえよう。古来、出家して僧になるためには、剃髪し、袈裟を身につけ、戒師から戒を授けてもらうことが必要とされる。すなわち『十誦律』二三では、そのような手順で沙弥となることが示され、また『四十八巻伝』三には、「華髪を剃り、法衣を着し、戒壇院にして、大乗戒を受け給いにけり」(聖典六・二一)とあり、法然も同様の手順で出家したことが伝えられている。剃髪は、得度と共に行われることが多く、この二つを合わせて剃度という。戒名を与える際に行われる剃度作法は、この剃髪と得度(授戒)のことであり、それは本格的に仏道を進むための第一歩である。これが転じ、現在は出家することを得度、在俗のまま仏弟子になることを剃度と呼ぶ。また日本では、平安時代以降、特に皇族や貴族などの高貴な者の中に、剃髪し僧衣を着つつも寺に入らず、在家のまま仏道修行する者もおり、このような者を入道とよんだ。
【執筆者:石田一裕】