阿弥陀仙
提供: 新纂浄土宗大辞典
あみだせん/阿弥陀仙
阿弥陀仏の異名。阿弥陀仏の寿命無量という特性が、中華の仙人の不老長寿と共通の属性を有することから名づけられたと考えられる。迦才『浄土論』(浄全六・六五五上/正蔵四七・九六下)や善導『往生礼讃偈』(浄全四・三六三上/正蔵四七・四四二上)には龍樹の讃礼阿弥陀仏文(十二礼)を引いて、「天人に恭敬せられたもう阿弥陀仙両足尊を稽首したてまつる。彼の微妙安楽国に在りて無量の仏子衆に囲遶せらる」とある。また仏にはその徳をたたえて十号が付与されるが、漢訳仏典においては「神仙」(『六十華厳』四、正蔵九・四一九上)・「仏仙」(那連提耶舎訳『月灯三昧経』一、正蔵一五・五五二下)と称することがある。これらは中華で理想とされる神仙になぞらえたものである。ちなみにⓈṛṣiは「仙」と訳され、梵文の『究竟一乗宝性論』には、ⓈAmitāyuṣam ṛṣimとあり、これを漢訳では「無量寿仏」(正蔵三一・八四八上)とする。
【執筆者:齊藤隆信】