仏子
提供: 新纂浄土宗大辞典
ぶっし/仏子
仏陀の弟子のことで釈子ともいう。大乗仏教の実践者である菩薩のことで菩薩戒を受けた者をいう。ⓈbuddhaputraⓈbhagavataḥ putra。一般に広くすべての生きとし生ける者、一切衆生のことを仏陀となる可能性・資格をもった者、すなわち仏性をもった者として「仏の子」と呼ぶことがある。釈子の語とともに初期経典に見られる。インド社会におけるバラモンの家系を表す種姓(Ⓢgotra ゴートラ)の観念を受けた言葉と考えられている。釈尊の教えを相続する者についての呼び名であるが、大乗仏教では、それまでの仏弟子たち、すなわち仏子を声聞乗と呼び、これに対して菩薩には仏の系統の相続者の役割が及ぶようになった。後世には仏教信者や聴聞者への呼びかけに用いられる。『往生要集』臨終行儀をのべる中に「仏子、年来の間、此の界の悕望を止めて、唯西方の業を修せり。なかんずく本より期せるところは、是れ臨終の十念なりき」(浄全一五・一一三下/正蔵八四・六九下)とある。
【参考】高崎直道『如来蔵思想の形成』(春秋社、一九七四)
【執筆者:大南龍昇】