関通和尚行業記
提供: 新纂浄土宗大辞典
かんつうかしょうぎょうごうき/関通和尚行業記
三巻。『引接室遺弟某甲等記』ともいう。享和二年(一八〇二)二月刊。関通の行歴を記したもので、数種存する伝記類の中でも最も新しくかつ広く世に流布した。本書の巻頭には天明四年(一七八四)に記された天龍寺二二一世桂洲道倫による題文と、享和元年(一八〇一)七月に記された知恩院六一世仰誉聖道による序文を掲げる。また末尾には関通の遺弟僧尼等が資財を拋って本書の製作を行ったことを記す跋文と、享和二年壬戌春二月の日付がある。この年は関通の三十三回忌に当たり、師の報恩のために遺弟等によって出版されたものである。関通の伝文、法語等を整理し、また本書以前に存していた『向誉関通行業記』『向誉上人行状聞書』『関通上人伝』等の諸伝をまとめて最も明確な伝記となっている。なお、ほぼ同内容の異本に『関通上人行業記』がある。
【所収】浄全一八、『関通上人全集』五
【執筆者:兼岩和広】