還相回向偈
提供: 新纂浄土宗大辞典
げんそうえこうげ/還相回向偈
能化の回向に唱える偈文。「誓到弥陀安養界 還来穢国度人天 願我慈悲無際限 長時長劫報慈恩」。『法事讃』下(浄全四・一六上/正蔵四七・四三一中)に出る。往相と還相の二種の回向のうち還相の回向を願う偈文。(私共は)阿弥陀仏の極楽浄土に往生したのち、ふたたびこの娑婆世界に還り来たって、苦しみの衆生を救い、慈悲をもって際限なく未来永劫、慈恩を報じることを願うの意。転じて、遷化した能化の還相回向を念じる文となり、浄土から娑婆世界に還来し、未来際を尽すまで、一切衆生の救済を行う菩薩とならんことを願う偈文となる。このため能化の年忌などでは送仏偈の代わりに用いられる。
【執筆者:加藤芳樹】