年忌
提供: 新纂浄土宗大辞典
ねんき/年忌
一周忌以後に勤める年回忌のこと。年回法要ともいう。一般には、一周忌・三回忌・七回忌と次第し、以後三・七に当たる年回忌を勤めるのが通例である。聖徳太子撰編と伝えられた『礼綱本紀』に「弔奠の儀は、第七日、第二七日から第七七日までと、第百箇日と第三年と第七年と第十三年と第十七年と第三十三年とは、天子から庶人まで同じであってちがう所はない(趣意)」(下・下・死葬一七)と記されていることから、『梵網経要解』『真俗仏事編』『浄土苾蒭宝庫』などはこの説を引いている。しかし江戸時代中期に『礼綱本紀』が偽書とされたため、『啓蒙随録』(初編一・二〇ウ~二一ウ)には「年忌追福のことは、古来聖徳太子のお定めと伝え承る」と記したうえで、根拠には『礼記』の説を引いて「志のある人は平素の供養を怠ってはならないが、常人は続け難いので年忌を定め、追慕の心をもって懇ろに供養する。百箇日、一周忌、三回忌はそれぞれ、儒教の卒哭、小祥、大祥の祭祀を取り入れたものである(趣意)」と記している。さらに三・七に相当する年を年忌とすることについては「三年から三十三年まで七度の年忌で、三七の数を累ね尽すからである」とし、五〇回忌については「大概孫の代となるので、その本を忘れず追福するのである」と記している。
【資料】『先代旧事本紀』六〇「礼綱本紀」、大雲『啓蒙随録』
【執筆者:熊井康雄】