護源報恩論
提供: 新纂浄土宗大辞典
ごげんほうおんろん/護源報恩論
一巻。覚性著。散逸。法然門下であった天台宗の中道寺覚性が明恵の『摧邪輪』に反駁した書とされる。道光の『新扶選択報恩集』上に、昔覚性が『扶選択論』七巻および『護源報恩論』一巻をもって『摧邪輪』に反駁したが、その義の多くは天台宗の立場から示されているため法然の意が尽くされておらず遺憾であるとし、このため自身がその義を述べ、祖師の報恩に報いる、とする。このように覚性は本書の他に『扶選択論』七巻をもって『摧邪輪』に反駁したとする。石井教道は本書が『扶選択論』の補遺として作られたものではないかとしている。
【資料】『新扶選択報恩集』上、『扶選択正輪通義』、『翼賛』四〇
【参考】石井教道『選択集の研究』註疏篇(誠文堂新光社、一九四五)
【参照項目】➡摧邪輪
【執筆者:笠島崇信】