諸家念仏集
提供: 新纂浄土宗大辞典
しょけねんぶつしゅう/諸家念仏集
九巻。玄阿懐音(一六五三—一七一四)編。各宗が依りどころとする経論および諸師の著述の中から念仏に関する要文を集輯し、著者自身による解説を付したもの。すなわち、第一巻に律宗念仏、第二巻に法相念仏、第三巻に三論念仏、第四巻に禅宗念仏、第五巻に華厳念仏、第六巻に真言念仏、第七巻に天台念仏を説く。第八・九巻の蓮宗念仏(浄土門の念仏)では、『群疑論』『念仏鏡』『五会法事讃』『選択集』『徹選択集』『伝通記』などを広く引用し、浄土門の念仏を観仏相好門・観仏法身門・有相称名門・無相称名門の四門に分け、このうち浄土宗の念仏は有相単信の本願称名念仏であることを明かしている。本書の成立について、跋文には懐音が編纂したものを密賢が校正し、仏定が寛政一二年(一八〇〇)に公刊したことが記されており、諸宗の念仏義を通覧するうえでは有用な参考資料といえる。
【所収】浄全一五
【執筆者:杉山裕俊】