蔡華
提供: 新纂浄土宗大辞典
さいけ/蔡華
白蓮華、分陀利華の別称。Ⓢpuṇḍarīka。善導の『観経疏』散善義に「分陀利と言うは、人中好華と名づけ、また希有華と名づけ、また人中上上華と名づけ、また人中妙好華と名づく。この華相い伝えて、蔡華と名づくるこれなり。もし念仏する者は、すなわちこれ人中の好人、人中の妙好人、人中の上上人、人中の希有人、人中の最勝人なり」(聖典二・三二三/浄全二・七一上)と述べているように、念仏を称える人を讃歎することばとして用いられる。大蔵経の中に蔡華なる語は見あたらないが、蔡とは卜占に用いられる大亀である。良忠は『伝通記』散善義記において、「蔡華とは即ちこれ蓮華なり。ただし蔡華の名は古より未だ決せず。近ごろ儒者ありてこの義を勘得したり。いわく、論語の公冶長の篇の註に云く、蔡は国君の守亀なりと。云云。この文の蔡とは霊亀の号なり。蔡地より出でたり。史記の亀策伝に云く、亀千歳にして乃ち蓮華の上に遊ぶと。云云。この文の遊華とは蔡の遊ぶ所の華にして、千歳の亀は即ちこれ霊亀なるが故なり。史記の文をもって今の釈の意を案ずるに、蔡華と言うは蓮華に当たる」(浄全二・四三五下~六上)と述べている。
【参照項目】➡分陀利華
【執筆者:齊藤隆信】