荘厳数珠
提供: 新纂浄土宗大辞典
しょうごんじゅず/荘厳数珠
数珠の一種。百八顆の水晶などを用いた数珠。荘厳服被着のときに用いる。『陀羅尼集経』(正蔵一八・八〇三上)には、誦呪、誦経、念仏する行者が十波羅蜜の功徳を満足し、現身に無上菩提を得るには水晶が第一とされ、水晶の光明と清浄無垢なる性質によって、この珠を掐るものは罪悪、業障などに染著されず、極楽に熟達することができるとある。荘厳数珠(装束数珠)には本装束数珠(皆水晶)と半装束数珠(水晶と黒柿等)があり、天台宗や真言宗などでは灌頂を受けたものが本装束、未灌頂のものが半装束、また導師は本装束、式衆は半装束などの決め事があるが、浄土宗では統一して本装束数珠のみを用い、これを荘厳数珠と称している。荘厳数珠で合掌するときは両母珠を両手の中指に(記子を左)、房糸を外にしてかける。入退堂・礼拝等をするとき、払子・中啓を合わせて持つときは、両母珠を左手の中指に移し、房糸を薬指と小指の間から内側にはさんで垂らす。経机などに置くときは、卓上左側に両母珠を前方にし、房糸を下にして子珠を手前にする。「然阿良忠像(鏡御影)」(鎌倉光明寺蔵)や「仏立恵照国師像」(清浄華院蔵)などに房の形が異なるものの浄土宗の荘厳数珠の古例を窺うことができる。
【参照項目】➡数珠
【執筆者:大澤亮我】