聖天信仰
提供: 新纂浄土宗大辞典
しょうてんしんこう/聖天信仰
歓喜天(ⓈNandikeśvaraⓈGaṇapatiⓈVināyaka)、すなわち歓喜自在天、大聖歓喜天に対する信仰。略して聖天と呼ばれる。別名は、俄那鉢底、毘那夜迦。ヒンドゥー教のガネーシャ(ⓈGaṇeśa)が仏教に取り込まれて護法神となった。密教では、両界曼荼羅の天部にあり大日如来の眷属である。歓喜天の神像は、象頭の人身で、単身の場合と男女双身像がある。その形相から、子宝や安産、夫婦和合の神として尊崇され、民間では縁日などに子孫繁栄を願い二股大根を奉納する。奈良県生駒市の生駒聖天(真言律宗)、東京都台東区の待乳山聖天(天台宗)などが著名であるが、浄土宗寺院でも東京都文京区の浄心寺などが、歓喜天を奉安する。歓喜天は多くの寺院で、秘仏とされている。
【参考】林屋友次郎著・藤本真靖編『聖天信仰の手引き』(大福生寺、一九六〇)、関尚道『わが国における聖天信仰』(平井聖天灯明寺、一九八七)、笹間良彦『歓喜天(聖天)信仰と俗信』(雄山閣出版、一九八九)
【執筆者:大澤広嗣】