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総安心・別安心

提供: 新纂浄土宗大辞典

そうあんじん・べつあんじん/総安心・別安心

良忠の『観経疏略鈔』一に「菩提心を総安心と為し、三心別安心と為す」(浄全二・四四三上)とあり、安心を総・別という切り口で解釈する。別安心は、「べったんじん」とも読む。一般に、安心とは心が落ち着いた状態で心配などのないことをいい、仏教では、信仰修行により到達する心の安らぎ、いわゆる不動の境地を意味する。聖道門では禅定による精神集中(観心止観)で得られるとするが、浄土門では阿弥陀仏本願に乗じ、その救いにあずかるときに得られるとする。良忠安心について、通仏教的立場からは菩提心を指すといい、浄土宗的立場からは三心を指すという。明恵は『摧邪輪』において法然菩提心の捉え方について批判しているが、良忠安心解釈菩提心を取り込むことで、浄土宗としてこの問題を解決しようとしたと考えられる。


【参照項目】➡三心安心菩提心


【執筆者:伊藤真宏】