相続開会の一念義
提供: 新纂浄土宗大辞典
そうぞくかいえのいちねんぎ/相続開会の一念義
肥後国で一時的に広まった一念義の一種。聖光『念仏名義集』中に、「念と云う文字は人二たりが心とよむなり。一と云う文字をばひとつとよむなり。されば一念と云うは人二たりが心を一つにするとよむなり。されば男女二人寄り合いて我も人も二人が心よからん時に一度に只一声南無阿弥陀仏と申すを一念義と申すなり」(浄全一〇・三七六上)と伝えるのがそれで、一念の語を男女の結び付きにこじつけて解釈する。幸西の一念義との関わりは不明だが、造悪無礙が悪業を恐れ慎む意識を放棄させたように、これも男女関係を慎むことから解放された民衆意識の中から生まれたと推測される。
【執筆者:善裕昭】