登下高座法
提供: 新纂浄土宗大辞典
とうげこうざほう/登下高座法
登高座・下高座の作法。誦経念仏(法会)と、説法説戒の場合(高座説法)に高座に登り威儀尊容を整えて、これを行う。『梵網経』二には、「若しは仏子、常に教化を行じ、大悲心を起し、檀越貴人の家、一切の衆中に入りては、立ちて白衣(在家者)の為に説法をすることを得ざれ。応に白衣衆の前においては高座の上に坐すべし。法師の比丘は地に立ちて四衆の為に説法することを得ざれ。若し説法の時は、法師は高座にして、香花もて供養せしめ、四衆の聴者をして下に坐して」(正蔵二四・一〇〇九中)とあり、説法のときに、講師は必ず高座に座すべき定めであったことが知られる。登高座するときは、まず高座の前に座る。払子を持っているときは、これを左卓の上に置く。次に蹲踞して、袈裟・法衣を左右に捌き、左膝を立て、右膝を高座にあげ、さらに左膝・右膝と進め、最後に威儀を整える。このとき、柄香炉や中啓および座具等がある場合は、あらかじめ高座の前方に押し置いて後、登高座を行い、所定の位置に置く。下高座するときは、右膝・左膝と引き、続いて右足・左足を下ろして蹲踞し、威儀を整えて座す。また、柄香炉や中啓および座具等がある場合は、膝前に下ろして後に下高座を行い、そののちに所定の場所に置く。日常勤行中に登高座するときは、開経偈の前から総回向偈・十念の後までの間とする。高座上においては上品礼・中品礼は行わない。
【参考】堀井慶雅『法式教案』、有賀要延『平成新編 仏教法具図鑑』(国書刊行会、一九九三)
【参照項目】➡高座
【執筆者:瀬戸隆海】