法然上人秘伝遠流記
提供: 新纂浄土宗大辞典
ほうねんしょうにんひでんおんるき/法然上人秘伝遠流記
二巻。撰者不詳。元禄三年(一六九〇)一月、「沙門行誉敬書」と記した片仮名本が印行されている。元久二年(一二〇五)四月の月輪殿における頭光踏蓮から建暦元年(一二一一)の帰洛までを三七段に分けて、法然上人遠流の事蹟が記されている。内容が、『法然聖人絵』(残欠四巻)や室町時代中期以後に成立した真宗系の法然上人伝記『正源明義鈔』(九巻)に似ていることから、布教を目的として作成されたと考えられている。また、隆寛撰とされる『法然上人秘伝』の記事に配所の記事が欠けているため、その補遺とする目的で作成されたとも考えられている。
【所収】法伝全
【執筆者:工藤美和子】