心行の四句
提供: 新纂浄土宗大辞典
しんぎょうのしく/心行の四句
聖光が『西宗要』二と『授手印』において、三心を具える上での理想像に四種を挙げ、これについてそれぞれ四つの例を用いて論じたもので、四句分別ともいう。三心の中でも特に至誠心を中心に説かれたもので、①一向行多・一向心多・行心俱多・行心俱少、②一向真実行・一向真実心・心行真実・心行虚仮、③始めは真実行終わりは虚仮行・始めは行虚仮終わりは心真実・始終行心真実・始終行心虚仮、のそれぞれ四句である。この説示が行われた意は「退屈の心起こる、此の人の為には精進の心を用いよと勧む意は、これ心をもって行を勧め、行は心を守るなり」(浄全一〇・一五六下)などといって、心と行はそれぞれが共鳴してそれぞれを高めることのできる関係をもつことを主張するためであったと考えられる。『授手印』には「横竪の三心」の箇所で心と行に関する④有願無行(宗の心に非ず)、無願有行(宗の意に非ず)、有願有行(これは浄土宗の心なり)、無願無行(宗の心に非ず、世間の心なり)(聖典五・二三五)の四句がある。
【資料】『西宗要』(浄全一〇)
【執筆者:郡嶋昭示】