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天楽

提供: 新纂浄土宗大辞典

てんがく/天楽

天神の奏でる音楽、天界の音楽、すばらしく妙なる音楽のこと。ⓈDivyāni tūryāniの訳語。『無量寿経』下では阿弥陀仏浄土で法を説くと、天界の神々が「天上百千の華香万種の伎楽をって、その仏及び諸もろの菩薩声聞大衆供養す」(聖典一・二五七/浄全一・二二)とあり、『観経宝楼観には「楼閣の中に、無量の諸天あって、天の伎楽を作す。また楽器あり、虚空に懸処せり。天の宝幢のごとく。鼓せざるに自から鳴る」(聖典一・二九六/浄全一・四一)と説かれている。また『阿弥陀経』にも「また舎利弗。かの仏の国土には、常に天楽を作す」(聖典一・三一六/浄全一・五二)とあるように、浄土の音楽は天人が奏でる場合と、たずして自然に奏でられる場合とがある。そしてその天楽の音声は法音として聞こえるという。なお、義山の『観無量寿経随聞講録』中では、迷いの世界を超えている浄土に天界の神々や楽器が存在することに疑義を呈し、経文の「諸天」について「諸天とは因順余方なり。神通に乗じて虚空に在るを天と云う。実には菩薩なり」(浄全一四・五九六上)と述べ、天の伎楽については「天は褒美の語なり」(浄全一四・五九六上)と述べ、さらに『阿弥陀経随聞講録』でも「天楽とは、天は褒美の語なり。彼の土の楽器に不鼓自鳴等の徳あるが故なり」(浄全一四・七二三下)と述べている。


【参照項目】➡天鼓


【執筆者:齊藤隆信】