合鈸
提供: 新纂浄土宗大辞典
がっぱち/合鈸
引鏧・鈸・鐃・太鼓の順に繰り返して打ち鳴らすことの総称。施餓鬼会・葬儀式(堂内式・露地式)の作梵の後と迎接式(出棺式)などに行う。引鏧は小さめの鏧の下部に布団と柄をつけたもので、大衆を誘引などするために打つのでこの名称がある。鈸は金属製の二枚ひと組の円盤形をした楽器で、直径一尺五寸程度のものが多い。中央部が丸く隆起しており、中央に小穴があり、円座紐といわれる撚り紐が通っている。持つときは、この円座紐を親指と人差し指の間で挟んで持ち、両胸の前で保持する。『法要集』では、打つときは、両腕をやや伸ばして胸前で鈸を左右から合わせるようにして打つよう指示している。小、大と打って一回とする。小を雌鈸、大を雄鈸と呼んでいる。鐃は円形の金属製の楽器で中央部に突起のないものである。突起のあるものは銅鑼と呼んでいる。縁部に二ヶ所穴があいており、その部分に紐が通っており、左手でその紐を持ち、膝前に保持する。鐃を打つ桴は先端が球形の布製などで柄が付いており、右手で桴を持ち、打つときは鐃の中央部に当てる。あまり大きな音を立てずに低音で打つ。二・四・四と鈸が打ち終わってから数を明確に示すために打つ。太鼓は厚さ三、四寸で両面に竜などが描かれており、通称懺法太鼓という。持ち方は左肘を体につけるようにして掌を上にし左手全体で太鼓の縁部を囲むようにして保持する。右手に桴を持ち太鼓の中央部から下部へ流れるように打ちおろす。息椎はしないように打ち、これを「流下する」という。鈸は、二・四・四・三・三、四・四・二・二・四・四・一と打つ。特に四の鐃を打つときは、「二」と「三」を小・大・小・大と続けて打つ。『法要集』上では、前半(二四四三三)と後半(四四二二四四一)に分け、前半のみ、後半のみで打つこともある。いずれの場合も、終わりは、太鼓の後に鐃を押さえるように打ち、息椎として終止形とする。鈸の数については、古来、二(序)、四四三三(上段・勧請)、四四二二(中段・供養)、四四一(下段・撥遣)の意味を表すという。
【参考】『図と写真で見る 知っておきたい 基本的な法式作法』下(浄土宗、二〇〇五)
【執筆者:坂上典翁】