じゅうねんごくらくいおうしゅう/十念極楽易往集
六巻。仏厳撰。作者の仏厳は、大日・阿弥陀同体説によって真言密教と浄土信仰を融合させた覚鑁の法脈に連なる、根来寺大伝法院学頭の座にあった僧である。九条兼実の『玉葉』によれば本書は六巻であり、後白河法皇の勅命で選集されたという(治承元年〔一一七七〕一〇月二日条)。東寺観智院に第六巻のみ伝来したが、現在は所在不明である。だがその冒頭部に「一期大要臨終門」とあったことが報告されており、覚鑁の『一期大要秘密集』との関係が窺える。
【参考】和多秀乗「十念極楽易往集について」(印仏研究三二—一、一九八三)
【参照項目】➡一期大要秘密集
【執筆者:舩田淳一】