六道絵
提供: 新纂浄土宗大辞典
ろくどうえ/六道絵
地獄・餓鬼・畜生・阿修羅・人・天の六道の苦相をあらわした絵画。それぞれの様相を視覚的に表現することにより、人々に穢土を厭い、浄土往生を欣求させる手だてとして用いられた。インドでは阿修羅道を除く「五趣生死輪図」が作られた。中国、朝鮮半島では十王や地獄の図に六道を付した作例が多い。日本では平安時代中期以降、浄土信仰の隆盛に伴って制作され、後には十界図の中にも見られるようになる。滋賀・聖衆来迎寺蔵六道絵(鎌倉時代・国宝)、京都・禅林寺蔵十界図(鎌倉時代・国重要文化財)が有名。
【参考】宮次男『六道絵』(『日本の美術』二七一、至文堂、一九八八)、中野玄三『六道絵の研究』(淡交社、一九八九)
【執筆者:田中夕子】