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光明坊

提供: 新纂浄土宗大辞典

こうみょうぼう/光明坊

広島県尾道市瀬戸田町御寺。仙容山宝蓮寺光明三昧院。真言宗泉涌寺せんにゅうじ派。円光大師御遺跡四十八所の札所。如念尼の招きにより法然が逗留したと伝える遺跡。寺伝によると、天平二年(七三〇)聖武天皇の勅願により行基開基。後白河院の皇女が尼となり如念と称し、松虫・鈴虫という侍女二人を伴って当寺に寓居し、光明三昧院の勅額を得、生口島いくちじまの寺田を与えられ、御祈願所となった。建永の法難法然が讃岐へ向かう途中、如念尼の招きにより逗留し、自らの影像を刻み、仏舎利三部経を如念尼に与えたという。この御影は慶長一七年(一六一二)金戒光明寺御影堂焼失後の本尊に遷座されている。『芸藩通志』では如念尼を式子内親王承如法)ではないかと推定している。現在、法然堂には法然・如念尼・松虫・鈴虫の像を祀り、境内には四人の供養塔と伝える五輪塔四基がある。本尊阿弥陀如来坐像・孔雀戧金そうきん経箱・忍性の建立とされる十三重塔は国重要文化財。


【資料】名村愚仙『円光大師御遺跡四十八所口称一行巡拝記』、『芸藩通志』九〇(『芸藩通志〔復刻版〕』四、芸藩通志刊行会、一九六七)、『芸州豊田郡生口嶋御寺光明三昧院松虫鈴虫略縁起』


【参考】浄宗会編『円光大師法然上人御霊跡巡拝の栞』(知恩院、一九九六)


【参照項目】➡松虫・鈴虫


【執筆者:山本博子】