住立空中三尊
提供: 新纂浄土宗大辞典
じゅうりゅうくうちゅうさんぞん/住立空中三尊
空中に現れた弥陀三尊のこと。『観経』において、釈尊が定善十三観のうち、第六宝楼観まで、すなわち依報の観察を説き終わった後、阿難と韋提希に対して、苦悩を除く法を説くので、それを憶持して広く大衆に説けと告げた。その釈尊の声に応じて、空中に立ち姿を現した阿弥陀仏・観音菩薩・勢至菩薩の三尊のこと。『観経』ではこの三尊を見た韋提希が接足作礼したのち、釈尊に対して、自分は仏力によってこの三尊を見ることができたが、未来世の衆生はどのようにすればよいかと尋ね、その答が別依報である華座と、正報である阿弥陀仏を観ずる部分の説示に続くようになっている。善導は『観経疏』定善義において、三尊の出現は、衆生が回心正念に往生を願えば、往生できることを明かすものであり、またなぜ立ち姿であるかというと、苦の衆生を救うために急ぎ赴く、立撮即行の姿を示しているとする。また『観経疏』玄義分では、このときに韋提希は無生法忍を得たとして、得益分を独立させることの根拠としている。
【参照項目】➡立撮即行
【執筆者:曽和義宏】