仏力住持
提供: 新纂浄土宗大辞典
ぶつりきじゅうじ/仏力住持
仏の力が衆生に加わっていくこと。仏の願力が衆生の仏道修行の増上縁となること。曇鸞は『往生論註』上に「但だ信仏の因縁を以て浄土に生ぜんと願ずれば、仏の願力に乗じて便ち彼の清浄の土に往生することを得、仏力住持して即ち大乗正定の聚に入る」(浄全一・二一九上/正蔵四〇・八二六中)といい、ひとたび浄土に往生したものは阿弥陀仏の第十一「住正定聚願」のはたらきをえて、不退転に住することを指摘している。ここでいう仏力とは、法蔵菩薩がたてた四十八願(因位)と、その願を成就して阿弥陀仏となり感得した威神力(仏果)のはたらきのことで、両者は相即の関係である。また曇鸞は、住持について、「住は不異不滅に名づけ、持は不散不失に名づく」(浄全一・二四三下/正蔵四〇・八三八上)といい、住とは変化せず消滅しないこと、持とは離散せず亡失しないことであると解釈している。つまり住持とは阿弥陀仏の願力によって永遠に清浄に保たれている状態である。仏力住持について、聖光は『浄土宗名目問答』で「難行道とは無仏の時に於いて阿毘跋致を求むるに難と為す、仏力住持無きを以ての故に、易行道とは信仏の因縁を以て仏願力に乗じて往生することを得、仏力住持の故に」(浄全一〇・四〇七下)といい、難易二道を仏力住持の有無によって判別している。
【参照項目】➡難行道・易行道
【執筆者:後藤史孝】