五体投地
提供: 新纂浄土宗大辞典
ごたいとうじ/五体投地
一
「ごたいとうち」とも。両肘・両膝・頭部の五体を地に投げ出して行う礼拝。礼拝する対象に対して、最高の敬意を表す。Ⓢpañcamaṇḍalanamaskāraなどの訳語。五輪投地、挙身投地などともいう。また聖冏が『釈浄土二蔵義』において「或いは接足といい、或いは頂礼といい、または稽顙といい、或いはまた五体投地という。言は異に、意同じ」(浄全一二・一四上)というように、様々な言い方がある。挙身投地という場合は、全身を地に投げうって行うこともある。また頭面接足や稽首接足というのは、礼拝する対象の足に、自らの頭を接して敬意を表すこと。頭は体の最も上にあり、足は最も下にある。それゆえ頭をもって足に接することが、最高の礼拝となる。
【資料】『大智度論』一〇〇
【執筆者:石田一裕】
二
浄土宗における礼法の一つ。浄土宗の礼拝には、上・中・下の三品の礼がある。五体投地は上品礼ともいい、仏に対する最高の恭敬法である。また、このときに、上向けた掌の上に仏の御足をいただく接足作礼の意をする。上品礼は、正座合掌のまま、両足の指を爪立て、次に左膝をあげ、おもむろに立ち、次に左足を引いて両足を揃え尊容を仰ぐ。その後、必要ならば右手で袈裟をかかげ、おもむろに右膝、左膝の順につけ、そして両肘、額を地につけ、両掌を水平に仰向けて耳のあたりまであげ、接足作礼の意をする。日常勤行式では、三宝礼・三唱礼・三帰礼・三身礼、礼讃の本文等に用いる。
【参照項目】➡礼拝
【執筆者:坂上典翁】