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三忍

提供: 新纂浄土宗大辞典

さんにん/三忍

阿弥陀仏国土において、宝樹を見る者が得る三種の法忍のこと。法忍とは、法を正しく知り心が安定すること。①音響忍おんこうにん阿弥陀仏説法を聞いたそのままにさとり、心が安定すること。②柔順忍にゅうじゅんにん阿弥陀仏説法内容に素直に従い、自ら思考してさとり、心が安定すること。③無生法忍むしょうぼうにん阿弥陀仏説法によって相対世界観を離れ、不生不滅の法をさとり、心が安定すること(『無量寿経』上、聖典一・二四一/浄全一・一五)。また、同義的なものに『月灯三昧経』二の①随順音声忍ずいじゅんおんじょうにん思惟随順忍しゆいずいじゅんにん修習無生しゅじゅうむしょうにんがある。


【執筆者:大屋正順】


観経』において韋提希が獲得したとされる無生法忍の三種の内容のこと。善導観経疏』の解釈による。①喜忍—歓喜が生じて、心が安定すること。②悟忍—廓然とした大きな気持ちになって、心が安定すること。③信忍—菩提心を発した初期の段階で、心が安定すること(『観経疏』聖典二・二三五/浄全二・三上)。


【参考】柴田泰山「善導『観経疏』における韋提希論」(『三康文化研究所年報』三七、二〇〇六)


【執筆者:大屋正順】


忍辱波羅蜜の内容となる三種の忍のこと。①耐怨害忍たいおんがいにん—他人からの迫害に対して自己の業を反省して耐え忍ぶこと。②安受苦忍あんじゅくにん—災難・迫害を受けても成仏への志を堅持して耐え忍び心を動揺させないこと。③諦察法忍たいさつほうにん—空性である真如あきらかに観察し、空であることを怖れずおののかずに認めて信じることに耐えること(『成唯識論』九、正蔵三一・五一中)。


【資料】『解深密経』四


【参考】広沢隆之『〈唯識三十頌〉を読む』(大正大学出版会、二〇〇五)


【執筆者:大屋正順】