三土
提供: 新纂浄土宗大辞典
さんど/三土
仏が所現した浄土を修行する者の機根や能力の面から三種類に分けたもの。古くから浄土の種類に関しては諸説あるが、それらを体系的にまとめ分類したのは隋代の浄影寺慧遠である。その著『大乗義章』一九「浄土義」(正蔵四四・八三四上)において事浄土・相浄土・真浄土が説かれる。事浄土とは凡夫が有漏(煩悩がある状態)の浄業によって受用する土、相浄土とは声聞・縁覚および初地以下の菩薩が無漏を習得して受用する土、真浄土とは初地以上の菩薩および諸仏が実証した善根によって受用する土のことである。さらに慧遠は真浄土を真土・応土の二土と、法性土・実報土・円応土の三土とに分ける。慧遠は『大乗義章』では阿弥陀仏の極楽国土を事浄土の一種として挙げているが、『観経義疏』などでは阿弥陀仏を応身とすることから応土と位置付けているといえる。また唐の迦才は『浄土論』(正蔵四四・八四上)において法身浄土・報身浄土・化身浄土の三土を挙げ、極楽浄土はこの三土に通じるという通報化の説を唱えた。
【参考】望月信亨『中国浄土教理史』(法蔵館、一九七八)、深貝慈孝『中国浄土教と浄土宗学の研究』(思文閣、二〇〇二)
【参照項目】➡通報化義
【執筆者:伊藤瑛梨】