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ペット供養

提供: 新纂浄土宗大辞典

ペットくよう/ペット供養

ペット供養は、現代日本を象徴する新たな供養の形態である。我が国において、伝統的な動物供養は、農耕牛馬、養蜂、養蚕など、生活に利益をもたらす動物への感謝とその愛惜を目的としていた。こうした使役動物には番犬や鼠駆除のための猫も含まれる。近年、少子高齢化が進行し、さらに都市部には単身者が増加するにつれて、犬猫などの小動物は、実用動物から、自立した子供や兄弟の代わり、単身者の孤独を癒やすなど、家族の一員としての新たな役割を担うようになった。その呼び名も、愛玩動物からペットと変化した。現在ではペットという呼び方は差別的だとして、コンパニオン・アニマル(人生の伴侶としての動物)と呼ばれることもある。こうした変化は、その死の取り扱いにも現れた。一九七〇年代以降、各地に供養形態も墓も人間の場合と同じペット霊園ができている。近年までは、人間の墓に動物を一緒にいれることを拒否する傾向が見られたが、動物についての死生観変化に伴い、現在ではペットの遺骨と共に埋葬できる墓の区画をもつ霊園も出てきている。歴史的に両国回向院が有名。


【参考】武田道生「現代日本におけるペットの家族化」(『家族と墓』早稲田大学出版部、一九九三)、松崎憲三『現代供養論考』(慶友社、二〇〇四)


【執筆者:武田道生】