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貞伝

提供: 新纂浄土宗大辞典

ていでん/貞伝

元禄三年(一六九〇)—享保一六年(一七三一)四月一〇日。訪蓮社良船。現在の青森県今別町に生まれ、弘前誓願寺の安貞(今別本覚寺二世)のもとで剃髪出家する。一五歳のとき、名越派本山専称寺二一世良通のもとに入寺し修学。享保三年(一七一八)郷里へ戻り、本覚寺五世となる。東北地方を中心に布教活動を行い、その教化は松前(北海道)まで及んだと伝えられる。晩年に建立した青銅塔婆(県重要文化財)には、二一文字多い『阿弥陀経』の経文が刻み込まれ現存している。また、余った銅をもちいて鋳造した「貞伝仏」あるいは「万体仏」とよばれる一寸二分の銅仏が、海難のお守りとして漁業者からの信仰を集めた。


【参考】肴倉弥八編『今別町史』(今別町、一九六七)、金子寛哉「『貞伝上人東域念仏利益伝』について」(『大正大学大学院紀要』六一、一九七五)、佐藤孝徳編『専称寺史』(私家版、一九九五)、「全国念仏行脚」(『宗報』平成二四年二月号)


【参照項目】➡貞伝上人東域念仏利益伝襄陽石刻阿弥陀経


【執筆者:工藤量導】