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興御書

提供: 新纂浄土宗大辞典

おこりのごしょ/興御書

一紙。印可御書ともいう。伝法然書。金戒光明寺蔵。法然が善心房(親鸞)に書き与えた消息とされる。高田派の慧雲は『興御書抄』で、題意を「宗義建立の興りを明すが故に興御書と名づく」と解し、法然から「念仏証拠の為」送られた真影の添状であるから、正確には「印可御書」と題すべきであるとしている。一方、「一念業成いちねんごうじょうの事、平生臨終三宝滅尽の時の機にありとも決定せらるべく候」(昭法全一〇〇五)と万機一念業成が説かれていることから、法洲ほうじゅうは『正邪強会弁しょうじゃごうえべん』で「一念邪徒が偽造なること疑いなし」とし、大谷派の了祥も『興御書批評』で「鎮西義名越一念業成の書なること無論なり」と偽撰説を唱えている。


【所収】昭法全、『真宗聖教大全』下、『真宗仮名法典』


【参考】禿氏祐祥「興御書の偽作事情」(『龍大論集』三四五、一九五二)


【執筆者:曽田俊弘】