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浄土法門源流章

提供: 新纂浄土宗大辞典

じょうどほうもんげんるしょう/浄土法門源流章

一巻。『浄土法門源流』『浄土源流章』ともいう。凝然ぎょうねん撰。応長元年(一三一一)成立。本書は、印度・震旦(中国)・日本にわたる浄土教弘通ぐずう次第について、はじめに「三経一論」の内容と弘伝を述べ、次に諸師の所説や伝承等を示す。日本においては、法然以前の流れとして智光・昌海・良源源信永観実範じっぱん・重誉・珍海ちんがい・勝範等を略述し、このうち日本に浄土教を広めた最要なる人師智光・昌海・源信永観実範源空の六哲であるとする。次いで法然とその門下の所説とそれぞれの分流を示す。法然門下には、幸西一念義隆寛多念義証空西山義聖光鎮西義長西九品寺流等を挙げて、「上来ぶる所、横竪相承並に源空上人の門流・苗裔、略して少分を挙ぐ。備に列すべからず。或は華洛に在り、或は諸国に満つ。古来横竪見聞すること能わず、知及することを得ず」(浄全一五・六〇〇下)とし、法然門下の浄土教が広く諸国に伝搬していたことを述べ、また「近代已来、時に英哲有て浄土教を弘めて遐邇かじに流布す。未だ必ずしも源空の所立に依らず」(浄全一五・六〇一上)として、「出雲路住心」(天台)・「生駒良遍」(法相)・「木幡真空」(三論・真言)・「東大寺知足院悟阿」等の人師も、それぞれに浄土教を学び、弘通教化したことを示す。


【所収】浄全一五、『続群書類従』八輯下、『国訳一切経』(和漢撰述九二)史伝部二四


【執筆者:米澤実江子】