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半斎供養式

提供: 新纂浄土宗大辞典

はんさいくようしき/半斎供養式

仏・菩薩などに飯食ぼんじきを献じるための法要。半斎儀、半斎供養儀、斎供儀、半斎供養とも称し、飯斎供養とも書いた。半斎は小食しょうじき(朝食)と中食ちゅうじき(昼食)との間の時刻をいう。中食をとる前に、仏前に膳を供える儀式。「献供呪」の間に浄箸じょうちょ作法をし、念仏一会の間に納箸のうちょ作法を行う。『法要集』の半斎供養式の特色は誦経流通分がないことである。「献供偈」の後に導師は、「供養三宝くようさんぼう 哀愍納受あいみんのうじゅ」または「百味飲食ひゃくみおんじき 自然盈満じねんようまん 哀愍納受」と発声して十念する。浄箸・納箸作法は、導師自ら仏前で行う場合と侍者が介添えをして箸を備えることなどがある。伝宗伝戒道場などで行われている作法は、あらかじめ仏前に膳(箸を備えていない状態)を供え、箸紙に納めてある箸を三方に載せて裏堂などに置いておく。侍者は供えるときに息がかからないようにするための覆子ぶくすを作り、裏堂に置くか左袖の中に備えておく。

浄箸作法

侍者は、維那が「献供呪」を発声した後に自席より裏堂に赴き、裏堂覆子を着けて、箸紙に納めた箸を載せた三方を捧持して導師前に進み、導師三方を手渡す。この間に導師焼香をする。導師は両手で三方ごと受け取って、机上に置く。箸を納めてある箸紙を取り、右手で箸を取り出し、箸紙を三方に戻す。箸を香煙に薫じ、箸をそのまま左手に持ち替える。右手は小三鈷しょうさんこの印を結んで、「甘露葷荼利呪ぐんだりじゅ」(オン アミリテイ ウンパッタ)を誦しつつ箸を三度加持する。箸を三方上の箸紙に並べて置き、三方を両手で持って一度押しいただき、侍者に手渡す。侍者は、その三方を持って膳の前に進み、箸を膳に供え、椀の蓋を取る。そして覆子を取って一拝し、三方裏堂に持っていき適宜のところに置いて、自席に戻る。導師侍者が箸を供えたのを見て、下高座して三拝する。その後再び登高座する。「献供呪」は本来七遍または二一遍であるが、この間誦し続ける。

納箸作法

念仏一会が始まったら、侍者裏堂に赴き、箸紙を載せた三方を持って、浄箸作法のときに礼拝した場所に至って一拝する。その場で覆子を着けて、膳の前に進み、椀類の蓋をし、箸を取って三方の上の箸紙に並べ、導師の前に進み、三方ごと導師に手渡す。導師三方を受け取り、箸を取って箸紙に納めて三方に載せる。両手で三方を捧持して、「哀愍納受」と意念して後に、三方侍者に渡す。その後、下高座して一拝し、その後再び登高座する。侍者三方裏堂に持ち帰り、覆子を外してから自席に戻る。この間念仏一会を続ける。 『諸回向宝鑑』二の「半斎儀」は、「四奉請甲念仏、(献供呪)、弥陀経、尊号、後唄回向、(送仏偈)」(一四オ)とあり、例時作法に基づく式であった。観随の『蓮門六時勤行式』には、「御膳を仏前等に供え、器の蓋を除け、箸を香に薫じて、如法加持し清め竟って座に著き」とあり、「変食呪」の際に加持することによって、呪数が定数でないのは不如法としている(安政四年〔一八五七〕・四オ)。『法要集』(大正一三年版)には、「奉請文・世尊一心文(この間供養作法)・献供偈」とある。


【参照項目】➡霊膳覆子


【執筆者:西城宗隆】