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十号

提供: 新纂浄土宗大辞典

じゅうごう/十号

仏の一〇種の称号。仏の十号如来十号ともいう。それぞれ①如来応供おうぐ阿羅漢供養されるべき人)③正遍知(正しくさとった人。等正覚、正等覚ともいう)④明行足(智慧と行いを具えた人)⑤善逝ぜんぜい(よくさとりに達した人)⑥世間解(世間を知った人)⑦無上士(最高の人)⑧調御丈夫じょうごじょうぶ(人を巧みに指導する人)⑨天人師(神々と人間の師たる人)⑩仏世尊、という称号である。仏世尊を仏と世尊に分ける場合もあり、その場合は一一の称号があることになるので、経典によっては一〇種にするためにいずれかを一つにまとめている。『無量寿経』では過去五三仏を列挙した後、「その時に、次に仏まします。世自在王如来応供、等正覚、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫、天人師、仏、世尊と名づく」(聖典一・二二〇/浄全一・四)と、世自在王如来に対して如来を含んで一一の称号を付して呼んでいる。浄影寺慧遠は『無量寿経義疏』において、「如来応等は是れ其の通号なり」とし、「十の中の、前の五は是れ仏の自徳、後の五は利他なり」(浄全五・二二下正蔵三七・一〇一上)と規定している。また「無上士調御丈夫及び天人師、此の両号は是れ化他の能なり」(浄全五・二三上正蔵三七・一〇一下)としており、また仏と世尊を分けていることから、無上士と調御丈夫をまとめて一つと数え、仏と世尊を分ける一〇種の称号としていたことが分かる。『大乗義章』二〇「十号義」においても「無上士調御丈夫、共に一号を成す」(正蔵三七・八六四中)と、同様の解釈を示している。また憬興きょうごうも『無量寿経連義述文賛むりょうじゅきょうれんぎじゅつもんさん』中(浄全五・一二四下~五上/正蔵三七・一四八上)で同様の解釈を示している。


【参考】藤田宏達「仏の称号 十号論」(『玉城康四郎博士還暦記念論集 仏の研究』春秋社、一九七七)


【執筆者:曽和義宏】