願掛け
提供: 新纂浄土宗大辞典
がんかけ/願掛け
神仏に願いごとをすること。願掛けの方法として古くは七、二一日など、一定の期間社寺に参籠することも多かった。また、百度参り・千度参りといって数多く参拝するもの、千垢離・万垢離といっておおぜいで何度も水垢離を取るもの、断物といって米・塩・茶など特定の食物を一定期間断つことを神仏に誓うもの、毛髪や絵馬などを奉納するものなどが代表的である。これらを行うのは、身を清浄にし、心を堅固にして神仏に誓ってこそ効果があると考えられていたためである。また、反対に「縛られ地蔵」など願いごとを叶えてくれれば縄をほどくといったような、神仏に普段と異なった状態や苦行を強いて現状を転換させようとするものもみられる。願いごととしては、雨乞い・日和乞いなど農作に関わるもので村落生活の安泰を願う共同祈願や、厄払い・病気平癒・商売繁盛・立身出世など個人祈願がある。満願のときには、旗・幡・額・底の抜けた柄杓などを奉納して恩を謝した。これを、願ほどき・願はずし・願はたしなどという。また、願はたしは生前に願をかけた者が死亡した場合に代わって願を果たしてやる場合をさすこともある。願戻しは願ほどきなどと異なり、死の直後・出棺時・初七日までに生前使用していた食器を打ち砕いたり、扇の要をはずして屋根に投げたりして、生前の神と絶縁して心残りなく成仏してくれることを祈る行いをいう。
【参照項目】➡願戻し
【執筆者:松野智章】