知識相承
提供: 新纂浄土宗大辞典
ちしきそうじょう/知識相承
経巻相承(八祖相承)と知識相承(六祖相承)の二系譜のうちの一つであり、浄土宗祖師の善知識たちによって浄土教法が相伝されたことをいう。六祖相承、直受相承ともいう。聖冏の『浄土真宗付法伝』(続浄一七・三〇四下)には、六祖相承として天親・菩提流支・曇鸞・道綽・善導・源空へと次第する三国伝承を明かして、これを知識相承と名づけている。経巻による八祖相承と違い、六祖相承は善知識による面授口訣という点で問題がある。まず道綽は曇鸞の碑文を見て帰依したとされるから、直接の面授による口訣はない。これについて聖冏は、相承に口訣相承と依用相承の二種類があるうち、六祖相承は依用相承であるから直接の口訣は必要ないとしている。また善導・法然の二祖対面による相承も同様で、夢中の面授による相伝は依用相承であって、決して妄想ではないとする。すなわち、善導・法然の相承は、歴史的な相承である経巻相承と内証的な相承である知識相承の両相承によって成り立っている。
【参考】『浄土真宗付法伝』(続浄一七)
【執筆者:工藤量導】