浄土曼陀羅
提供: 新纂浄土宗大辞典
じょうどまんだら/浄土曼陀羅
浄土の有様を表した図。浄土図、浄土変相図、浄土変ともいう。密教における仏の世界観を絵画などで視覚的に表したものを曼荼(陀)羅と呼ぶが、これに倣い、日本においては、仏の浄土を表した絵画を浄土曼陀羅の語で呼ぶことが平安時代以降に一般的となった。このうち、智光曼陀羅、当麻曼陀羅、清海曼陀羅は、浄土三曼陀羅と呼ばれ特に重んじられた。当麻曼陀羅や清海曼陀羅のように、『観経』の所説に基づくものを特に観経曼陀羅と呼ぶ。知恩院蔵の阿弥陀経曼陀羅(国重要文化財、鎌倉時代)は、特に『阿弥陀経』特有の所説を示したものではないが、精緻な描写の浄土変相図として知られる。また、摂取不捨曼陀羅は現存する作例を欠いているが、米国・クリーブランド美術館蔵『融通念仏縁起』下にその図様を見ることができる。阿弥陀仏の光明が念仏者のみを照らすという特異な図様であり、明恵が『摧邪輪』、貞慶が『興福寺奏状』でこの図の不当性を訴えた。このほか、来迎図を迎接曼陀羅と称する場合がある。
【参照項目】➡浄土変相図、観経曼陀羅、阿弥陀経曼陀羅、智光曼陀羅、当麻曼陀羅、清海曼陀羅、摂取不捨曼陀羅、迎接曼陀羅
【執筆者:若麻績敏隆】