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法音

提供: 新纂浄土宗大辞典

ほうおん/法音

説法読経の音声。Ⓢdharmaśabda。羅什訳『法華経』では釈尊説法法音と訳される。浄土教においては極楽荘厳から奏でられる妙なる音声はすべからく仏の教えを説く音であると理解される。『無量寿経』上には「常に法音をもって、諸もろの世間を覚せしむ」(聖典一・二一五/浄全一・二)と如来説法の様を描写している。また「微風みふうゆるく動いて、諸もろの枝葉を吹くに、無量の妙法の音声を演出す。その声、流布して、諸仏の国に徧す。その声を聞く者は、深法忍を得て、不退転に住す」(聖典一・二四一/浄全一・一五)と浄土荘厳が奏でる妙なる音声の用例が見られる。『観経』第一二観では「水鳥樹林および諸仏が出だす所の音声は、皆妙法をぶ」(聖典一・三〇四/浄全一・四六)と示しており、『阿弥陀経』では「諸衆鳥、昼夜六時に、和雅の音を出だす。その音、五根五力・七菩提分・八聖道分、かくのごとき等の法を演暢えんちょうす」(聖典一・三一七/浄全一・五三)と示し、共に極楽浄土で聞くことのできる音声がみな法を説く音に聞こえることを示している。


【執筆者:渋谷康悦】