決定往生
提供: 新纂浄土宗大辞典
けつじょうおうじょう/決定往生
浄土への往生が確実に定まること、定まっていること。また、その確信を決定往生心という。法然は『選択集』一において『安楽集』を引き「たとい一形悪を造るともただ能く意を繫けて、専精に常に能く念仏すれば、一切の諸障、自然に消除して、定んで往生を得」(聖典三・九八/昭法全三一一)と念仏一行によって往生が確定することを述べている。また、同章で『西方要決』を引き「弥陀の本願、誓って娑婆を度したまう。上現生の一形を尽し、下臨終の十念に至るまで、ともに能く決定して皆往生を得」(聖典三・一〇二/昭法全三一三)と述べている。あらゆる衆生の救済を誓願とし、それを成就して仏となった阿弥陀仏が示した行である口称念仏こそが往生の正因であり、己の機根を弁えた三心具足の念仏によって往生が確定されるのである。『御消息』には「ただ心の善き悪きをも顧みず、罪の軽き重きをも沙汰せず、心に往生せんと欲いて口に南無阿弥陀仏と称えば、声につきて決定往生の思いをなすべし。その決定の心によりてすなわち往生の業は定まるなり」(聖典四・五三八/昭法全五八一)と上記趣意を自身の言葉で語っている。
【執筆者:渋谷康悦】